主旨                              

昭和初期、自然栽培が世の中に、姿を現し、さまざまな先駆者の実践が、積み重ねられてきた。しかし、いまだ世の中に広く広まるにいたっていない。そんな中、先駆者の努力により自然栽培の型が現れ、徐々に広まりをみせつつある。


農村の現状は厳しく、農家の担い手は高齢となり、耕作放棄地が後を絶たない。農作物を襲う耐性菌の拡大、産地土壌の疲弊は著しい。家畜糞尿をはじめ、産業廃棄物の圃場への投入・負荷には、警鐘が鳴らされているが、圃場への投入は後が絶たない。


農業に起因する農薬や肥料は、地下水汚染、土壌汚染、ひいては海洋汚染にもつながっている。当然、人体にとっても害であることを、多くの人が知るところとなってきた。


衰退の一途を辿っているようですらある日本、そして世界の農業。人によって大地や植物をはじめとする生き物は、汚され、痛めつけられてきた。そして私たち自身の身体をも汚し続けてきている。


そんな中、自然栽培は土を清浄化し、土と作物の本来の偉力が発揮されるようにすることを目的としている。この目的を会の活動を通して具現化していく。


自然尊重・自然順応・自然規範を理念とし、原理原則に学びながら、人が自然の一部として自然と積極的に関わることで、大地を清浄化し、回復していくスピードを速めることのできる取り組みといえる。


この事実を、志ある農業者に問いかけ、これまでの産業・農業の矛盾に真正面から向き合い、地域、日本、そして世界の農業に問いかける志を持って、本会を発足する。たった一枚の田畑に真剣に向き合い、その一枚から清浄化することを志すものである。


農業、社会活動による汚染が集約した大地。その汚れを大自然は払おうとしている。そのことはさることながら、人間としての役割を全うする必要がある。そのために、これまでの土の歴史に向き合い、人類の歴史に向き合う。自然栽培に取り組むことにより、一枚の田畑において、土壌の力が如何なく発揮され、過去が清算されていく速度が速まる。そのことにより清浄化された食物が世の中に広がることとなる。まさに一大転換が訪れようとしている昨今。農業者・消費者・流通業者が三位一体となって、人の役割を自然に添って行う決意をもって当会を立ち上げる。


これは、たった一枚の田畑に向き合う尊さを認識しつつ、農業者が農業者としての誇りを取り戻し、大自然への畏敬の念、大自然への感謝をわれわれの生活の内側に取り戻す行為である。


かかる一大事業を当たり前のこととして成し遂げていくために、まずは全国に柱となる先駆者を擁立し、自然栽培の研鑽・普及に当たっていただくものとする。その先駆者の活動を補佐するための組織体制をとる。そして、先駆者の周りに自然栽培を志す人々が集えるようにしていく。自然栽培の理念・原理原則・技術を生産・流通・消費の中に広め深める。自ずと世の中に認知されていくことを主旨とするものである。